「上司や同僚からの何気ない一言に傷ついてしまう」「周囲の人が気になって仕事に集中できない」といった悩みを抱えていませんか?敏感で繊細な気質を持っているHSPの方の中には、正社員での働き方に限界を感じている人もいるかもしれません。とはいえ、自分にあった働き方を見つけることは難しいもの。実際にHSPの人は、どのような働き方をしているのでしょうか?
この記事では、HSPの人が仕事をどうしているのかや、心地よく働くための工夫などについてまとめてみました。同じ悩みを抱えている人の働き方を知って、おだやかな日々を過ごすためのヒントを探してみましょう。
仕事選びのポイント
HSPは働きづらさがある反面、自分にあった仕事を探せば能力を存分に発揮できます。ほかのHSPの人がどんな仕事をしているのかを知って、仕事選びの参考にしてみてください。
リモートワークができる会社
HSPの人は周囲の情報を敏感に感じ取ってしまうので、多くの人が集まる職場は大きな負担になってしまいます。上司や同僚の機嫌が悪かったり、何かトラブルが起こったりしたときに、自分のせいではないかと不安に感じてしまうこともあるでしょう。
HSPの方の中には、周囲の影響を受けないようにするため、リモートワークができる会社を選んでいる方も多いようです。リモートワークをすることで「他の人から急に話しかけられる」「周りの会話が気になる」といった刺激の量を減らせて、仕事に集中できます。
また、多くの人が集まるミーティングも、オンラインであれば画面を通しているので、境界線を引くことができます。
1人で黙々とできる職種
HSPの人は、人と関わり続けると気疲れしてしまいがち。最低限のコミュニケーションで済むように、1人で黙々とできる職種を選んでいる人もいます。事務は会社や職場の雰囲気によりますが、1人でコツコツとやる仕事が多くHSPの方にぴったり。資料作成やデータ入力など、慎重さや性格さが必要とされる仕事はHSPの特色を活かせます。
また、対面でのコミュニケーションが少ないフリーランスを選んでいる方もいるようです。Webライティングやプログラマー、ネットショッピングの出品など、さまざまな仕事があります。メールやチャットでのやり取りが基本なので、返信内容をじっくり考えることができて、精神的な負担が減らせるはず。また働く時間や場所は自由なので、自分のペースで働けます。
部署の異動が多い会社
興味関心が移りやすいHSS型のHSPの方は、「飽きっぽくて仕事が続かない」「好奇心旺盛すぎて、ひとつに絞れない」という悩みを抱えてしまいがち。せっかく仕事に慣れてきたところで刺激を感じられなくなってしまって、転職を繰り返してしまう人が多いようです。転職を繰り返して給料が上がっていけばいいのですが、なかなか次の仕事が見つからなかったり、下がってしまったりすることもありますよね。
確実にキャリアアップをするために、部署異動が多い会社を選ぶようにしているHSPの方もいます。転職をした場合、すべてを1からスタートさせなければいけないため、新しい環境が苦手な方はストレスが溜まるかもしれません。今の会社に不満がないならまずは部署異動を希望してみて、無理そうなら異動が多い会社への転職を考えてみるのがおすすめです。
派遣やパート
正社員となると責任が重く就業時間も長いため、プレッシャーで心や体が疲れてしまうHSPの方もいます。「週5日8時間勤務が辛い」「フルタイム勤務の後はぐったりして動けない」という方は、派遣やパートを選び、働く時間を思い切って短くしてみると楽になるかもしれません。
実際に正社員から派遣に切り替えたHSPさんは、気持ち的にも体力的にも余裕ができて仕事があまり嫌ではなくなったんだとか。生活を見直して固定費を抑えると無理に働く必要がなくなるので、お金の不安も少なくなります。フルタイムでバリバリ働くのに疲れた方は、派遣やパートも視野に入れてみるといいでしょう。
通勤電車を快適に過ごすコツ
HSPの方は五感が鋭いため、音や匂いなど他の人が気にならないことも敏感に感じ取ってしまいがち。毎日の満員電車に疲れてしまう方も多いと思います。ここではHSPの方が行っている、電車通勤を乗り切るための工夫についてご紹介します。
朝早く出て通勤ラッシュを避ける
満員電車を避けるためにかなり早めに出勤しているHSPの方もいるようです。空いている早朝に乗ることでパーソナルスペースを広く取れて、電車移動を快適に過ごせます。また、HSPの特徴の一つに「急な予定変更が苦手」というものがあります。
朝の通勤時に電車が遅延して出勤時間に遅れると、自分が悪いわけでないのに「周りに迷惑をかけてしまう…」という気持ちが大きくなり、精神的な負担を抱えてしまうのです。そういった事態を避けるためにも、朝早く出勤してみるといいでしょう。
フレックスタイムで通勤時間をズラす
フレックスタイムを利用して通勤時間をズラしている方もいます。フレックスタイムとはコアタイムを設定し、その時間にさえ会社に居れば前後の時間を自由に使える制度です。その日の体調によって遅く出勤するのも早めに退勤するのもOK。
朝早く起きるのが辛い方は、出勤時間を遅くすれば朝夕の通勤ラッシュを避けられます。フレックスタイムを設定していない会社でも、「いざ相談したら聞いてもらえた」というケースがあるようです。毎日の通勤電車が辛い方は、一度会社に相談してみるといいでしょう。
ノイズキャンセリングイヤホンを使う
聴覚に敏感なHSPさんは人の話し声や電車の走行音など、情報が一気に入ってくるとどっと疲れが出てしまいます。満員電車に乗るときはノイズキャンセリングイヤホンを使って、周囲の騒音を遮るのがおすすめです。
イヤホンで好きな音楽を聴いたり、雨の音や鳥の鳴き声といった自然音を流したりすることで、気持ちがリラックスするはず。アップテンポな曲をかけると、通勤時間が楽しくなります。
心地よく働く工夫
HSPさんは些細な刺激に敏感。ここでは「刺激」から自分を守る工夫についてご紹介します。
デスクに観葉植物を置く
前の人が気になったり、隣の人に監視されているような気分になったりと、周りの視線が気になるHSPの方は自分のデスクに好きなアイテムを置いているそうです。デスク周りを自分らしくアレンジすることで、安心感が増しします。とくにおすすめなのが、リラックス効果がある観葉植物です。
観葉植物を枯らしてしまう人は、一輪挿しや水があまり必要ないサボテンなどを飾るのがおすすめです。疲れたときや心がザワザワしたときは、観葉植物を見つめてほっと一息ついてみましょう。
与えられた業務以外はやらない
HSPの人は察するのが上手なため、空気を読みすぎて疲れてしまいがち。上司との会話中に「直接頼まれてはいないけど、やって欲しいんだろうな」と相手の気持ちを汲み取って、自分の仕事を増やしてしまう人が多いようです。
そんなときは「与えられた業務以外はやらない」というルールを決めておくのがおすすめです。やってほしそうな雰囲気を感じ取ったとしても、明確な指示がなければ受けないようにしましょう。
大切な仕事をひとつだけ選ぶ
HSPさんは、マルチタスクが苦手な人が多いようです。物事を敏感に察知して細かいことに気がづくため、一度にたくさんのことが起こったり、短時間に多くの仕事をこなさなければならなかったりすると、大きな負担になってしまいます。
ToDoリストにタスクがズラッと並んでいると、「やることがいっぱいある……」と感じてしまうので、1番重要な仕事を一つだけ決めてみましょう。終わったら線で消して次のタスクを1つ書くようにすると、常に目の前のやることは1つなので混乱を避けられます。
副業をはじめて選択肢を増やす
自分のペースでできるフリーランスになりたい!と思っても、経験やスキルがないままいきなりチャレンジするのは危険。まずは副業から試してみるのがおすすめです。仕事終わりや空いた時間を使って、少しずつスキルを磨いていきましょう。
副業で稼げるようになれば、ストレスの少ない働き方も選べるようになる可能性が広がります。また、ちょっとしたミスや同僚の言動などが気になって、家に帰っても仕事のことが頭から離れない人も多いでしょう。副業を始めると、新しいことを学べて気分転換にもなりますよ。
全員に好かれようとしない
HSPの方は、無意識に自分よりも他人を優先してしまいがち。人に好かれようとするほど自分の本心がわからなくなってしまいます。合わない人とは一定の距離を取り、仕事に影響のない範囲で必要最低限の付き合い方をすればOK。
「職場の全員と仲良くしなければならない」という思考を捨てれば、気持ちも楽になるはずです。気の合う人がいたらラッキー!ぐらいに思っておきましょう。
HSPの方は些細なことにも敏感に反応してしまうため、仕事が辛いと感じてしまいがちです。しかし共感力の高さや思慮深さ、探究心といったHSPの気質をうまく活かせば、優れた能力を発揮できます。仕事の選び方や通勤、働き方を工夫して、少しでも無理せず過ごすように心がけてみましょう。