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「他者貢献」が次の時代のカギ。寄付で世界平和を目指す理由|日本寄付財団 村主悠真氏インタビュー

最近、「寄付」という言葉を耳にする機会が増えてきた気がします。そこで日本の寄付事情について調べてみたところ、英国のチャリティー機関「チャリティーズ・エイ ド・ファンデーション(CAF)」の公表しているインタビュー報告書によると、日本は”人助けランキング”で世界最下位だったのです。
今年のカンヌ国際広告際の受賞作品を見てもわかるように、世界で活躍するには「社会貢献」がキーワードになるのではないかと考えています。
そこで、今回は日本寄付財団という一般財団法人で代表理事をされている村主悠真氏にインタビューをさせていただき、寄付をする人たちのマインドを理解しようと試みました。
参考:CAF
参考:PRESIDENT WOMAN

村主 悠真 さんのプロフィール

1982年:東京都出身
2006年:手掛けていた事業を売却。プライベートファンド設立。
2011年以降:国内外の事業に対する出資と売却を繰り返す。
2020年:村主現代芸術文化財団設立
2021年:日本寄付財団設立
「寄付」を起点に日本から世界平和を目指すために、国内外での寄付から様々な社会課題に立ち向かう団体の支援、またはイベントの企画~サポートを実施。
ウクライナ・チャリティーウォーク「PEACE WALK」
世界へ希望のメッセージを伝えるプロジェクト「みんなの想火(そうか)」

日本寄付財団について

日本の寄付文化の再構築のための啓蒙活動や国内外を問わない全社会課題解決への助成事業を通して、世界における日本の地位向上を目指している団体。

利益至上主義がもたらす多くの社会問題、放置され続ける課題に真正面から向き合い、それらを解決・改善するための精力的な活動を行う団体の支援を目的として設立されたのが日本寄付財団です。

助成事業としては、児童、青少年、高齢者および障がい者の支援、地域社会や環境改善のための活動、芸術やスポーツの振興、発展途上国への支援など、社会的な課題に取り組む団体への助成プログラムを本格的に開始しています。

寄付による世界平和を目指すワケ

ーいきなり申し訳ないのですが、なぜ財団をつくってまで寄付をするのでしょうか?

かなりストレートですね。笑 では私も端的にお答えさせていただきますと、「寄付を通した世界平和の実現を本気で目指すため」です。10年前から個人的にずっと寄付は続けてきたのですが、個人での動きに限界を感じるようになりました。

加えて、個人でこっそりとやっていても表に見える実績がないので、同じような非営利意識が強い方や平和実現のための仲間を募る際に見せられるものがなく、とても不便だったということがあります。
今回財団を正式に登記したことですべての活動が公的なものになり、こういった取材もしていただけるなど、活動自体がやりやすくなりました。

ーすごいですね。これからお話を聞くのが更に楽しみになってきました

個人ではなく非営利団体に寄付する理由

ー最近ではSNSを中心に、資産を多く持っている方が個人に対して寄付をするという光景をよく見かけますが、日本寄付財団はなぜ個人ではなく団体へ寄付をしているのでしょうか?

そもそも寄付活動を通した大目標が世界平和の実現なのですが、世界中の国の貧困問題や、紛争問題、障がい者の支援や難民支援、少年兵の解放や地雷の撤去などの問題を個人で進めていると時間がかかります。
より早く世界平和を実現させるために、それぞれの専門家にお願いをして時間短縮をはかっています。

ーなるほど。村主さんの寄付活動で「時間短縮」というのもキーワードになりそうですね

そうなのかもしれません。私の見解ですと、恵まれていない人たちのために何かしたいと思って行動している人が、”実際は自分たちも困っている”というケースも多いように思います。
それでも「良いことをした」という満足感は得られるので、寄付活動やボランティア活動は続けていくことができますし、素晴らしいことに変わりはありません。

とはいえ”困っている人が困っている人を助ける”という状況には無理がありますし、サステナブルじゃない状態になっている方々も多いと思っています。
より多くの人を早く手助けするには「資産を多く持っている経営者や資産家が金銭的な寄付をして、そうではない方が金銭ではなく行動による寄付を行っていく」方が、寄付活動の目的達成のためには効率的だと考えています。加えて、それがより持続可能な寄付活動だとも思っています。

日本人の寄付活動におけるマインドと仕組み

ー少し話が変わります。CAFが発表した”人助けランキング”だと日本は世界で最下位になっています。しかし、スパチャでの獲得金額は日本のVtuberが世界一位です。
誰かに金銭を与えるということが寄付活動の一環であるとした場合、日本人の寄付活動におけるポテンシャルは相当高いと思うのですが、いかがでしょうか?
参考:PLAYBOARD

スパチャや寄付というのは「安いから買う」「儲かるから投資する」という考えではなく、「応援したいから買う」「活動に共感できるから寄付する」という共感経済文脈です。
「距離」というのも一つのキーワードになっていて、「親にはお金をあげるけど、近所の人にはお金をあげない」といったように、距離が遠くなるほど”与えること”のハードルが高くなります。

寄付活動というのは、遠い国の会ったこともない人たちのために金銭を与える場合も多いわけですから、スパチャとは比べ物にならないくらい距離が遠い話になります。なので、同じようで全く違うものかなと思います。

ーなるほど。スパチャのようにとは思いませんが、寄付にエンタメ要素を加えるというのは、距離が遠い人にお金を与えるトリガーにはなりそうですよね

それはありますね。実際、私が今やり始めているのは、”寄付をしたらポイントが発生して、そのポイントがないと買えない〇〇をつくる”ということです。
「寄付をこのくらいした人じゃないと買えないバッグ」という感じで皆が自慢していく。「寄付したい」じゃなくて「このバッグが欲しい」って人を刺激した方が早いだろうなと思っています。

「寄付活動にはもっと慈善精神がないとダメだ」という意見もあるかもしれませんが、マインドを育てていくのは時間がかかることなので、寄付活動をするキッカケとしては、これもいい仕掛けだと考えています。

ー面白いですね!私のような人間の場合、寄付をするメリットは?見返りは?と考えてしまうので、物理的なリターンがあることは寄付活動をする動機になります。笑

そうですよね。笑 ただ本来、物理的なリターンがあった時点でそもそも寄付と認められないというのが税制面でのルールにもなっているため、そこは難しいですね。

そして寄付を税制面で見た場合、まだまだ日本は諸外国と比べても完璧な税制の整った国ではありません。アメリカのような税制にしようという動きもありますし、そこも重要なファクターだとは思っています。しかしそこには税収の問題も絡んできてしまうので、一筋縄ではいかないのが現状ですね。

ー寄付活動がより活発になるための仕組み作りとして、今どのようなことをなさっているのかがわかりました。マインドの醸成についてはいかがでしょうか?

日本は道徳心がすごく高い国ですよね。だからこそ、「私、寄付したんだ!」って周りに言いづらい雰囲気があります。「そんなの当たり前じゃん」ってなりますから。
海外では個人も企業も、寄付をしたのであれば、そのことを”どんどんアピールした方が良い”という雰囲気になっています。日本にある”寄付したことをアピールしづらい雰囲気”が寄付活動浸透の足を引っ張っている、というのはあると思います。

すでに「誰かに何かをしてあげたい」というマインドは十分にあると思うんです。だから、”寄付する人はもっと褒められるべきだ”という社会全体の雰囲気を醸成していくことが、寄付活動を盛り上げるために必要だと思っています。
寄付した人はアピールした方がいいし、社会は寄付した人を賞賛していくべきなんですよね。
他には、発信力があって共感を生みやすい起業家や資産家、あるいはタレントさんがSNSで堂々とアピールをしていくことも必要なのかもしれません。

ーありがとうございます。社会全体の空気を変えていくのはとても大変ですよね

「寄付=かっこいい」が根付いた世界での「働く意義」と「お金の価値」

ー世界では寄付活動が盛んなわけですから、寄付マインドが根付いた社会が実現されているということですよね。これから日本人はより世界に出て活躍をしていかなければならないと思うのですが、世界で活躍するためには寄付マインドを持ち合わせた人たちと思考を合わせて仕事をしていく必要があると、個人的には考えています。
寄付することがかっこいい、となりつつある世界では、働く意義は”お金を稼ぐこと”よりも”社会貢献”に重点が置かれ始めているのでしょうか?

「お金のために生きる」「ひたすらお金を稼ぐことがかっこいい」という時代はもう終わると思っています。これは一種の社会の洗脳ですし、お金が儲からないことに対して一生懸命動いてる人がなぜか冷たい目で見られる、という風潮も変わってくるのかなと思っています。

そして人のために利他の精神で動ける人、高い抽象度で世界を見て行動できる人は、今後より社会の中心になっていくと思っています。

ーなるほど。お金というツールがあることで、本当に価値があるものが見えにくくなっているということでしょうか?

そうですね。今、フリーランスが増えていますが、今後また大企業に務める人がどんどん減っていって、週休3〜4日制になっていきます。これまでほど労働しなくて良くなります。それが世界中の潮流ですよね。

そのときには、当然収入が減っていくわけですから支出も減ります。そうすると貧乏な国になる。そして「貧乏だけど時間はあって心は豊かだよね」という国(世界)になっていくのが世界の流れです。すると、何をしてどうやって満足度を高めていくかが大事になり、「お金がないと幸せじゃない」という洗脳が解けていく。

そうなったときに”人のために動く人”が重要になってきます。


ーなるほど。すごいですね

まず時間があるとみんなエンタメに走ります。みんなテレビとかTikTokに絶対走る。でもそのうち、「これって無駄な時間だ」と気付く人が出てきます。
じゃあその時間でスポーツをしようとか舞台を観ようというようになると思うのですが、結局これでも満足度は高まらない。

そこで次は「人のために自分が動く」「人が喜んでくれることに自分が喜びを感じる」時代になる。つまり、【他者貢献】が次の時代のキーポイントになります。
その時代がきたとき、他者貢献をいち早くやっている人が居たらその人が「先行者」になりますよね。所謂その時代で言うお金持ちになるということです。だから今から少しずつでもやれるなら、他社貢献はやっておいた方が良いですよね。

ー内閣府が発表している調書には、寄付等をする人の理由は過半数以上が「社会の役に立ちたいから」だと書かれていましたが、私には理解できませんでした。
もっと「節税になるから」とか「名声を手に入れられるから」という人が多く居てくれた方が納得できたんですが。でも、村主さんのお話を聞いて、「社会の役に立つ」ということが、結局は自分のためにもなるんだということが理解できました
参考:内閣府NPO

もちろんそんなことを考えず、みんなが寄付や社会貢献活動をできるのが理想なんですが、明確な「得」がないと動けない人も多いと思います。なので、こういう考え方もあるよというぐらいに聞いておいていただいて、いつか参考にして行動に移してくれる人が増えれば嬉しいなと思っています。

寄付をして良かったと思える瞬間

ー最後に、寄付をして良かったと思えたエピソードを教えてください

僕は様々な非営利団体へ寄付をするだけでなく、外国の学校や病院、孤児院などにも寄付をしたり運営のお手伝いをしたりしています。

本来、国の子供たちを守るのはその国の大人たちの責務ですが、ただそれだとどうしても足りない部分があり、そこを外国人である私が支援している形です。私個人が感謝されるだけでなく日本全体が感謝されることになり、ある意味日本への貢献にもなるので、それは良かったと思える瞬間です。

私は日本というものを背負って寄付活動を行っているつもりですし、各国に対する責任もあると思っています。
未だに親日の国が多いのは、先輩たちが積み重ねてきてくれた実績のおかげです。なので、その絆を僕らの世代で終わらせないためにも、しっかりと責任ある行動を続けて、更に次の世代にバトンを引き継いで行けたらと思っています。

ーありがとうございました

告知情報

【「日本寄付財団2022年度助成金」正式募集開始】
2022/6/25より、2022年度「日本寄付財団助成事業」の受付を開始。
1団体あたりの助成金の上限は1000万円、助成金の総額は1億円としています。
社会的な課題への支援や解決のための活動を行う団体が、本助成金の趣旨に沿った活動や設備等の充実のために活用する資金を助成します。

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投稿者プロフィール

TAKAHASHI
TAKAHASHI
株式会社アステルの社長。これまで数多くの大手企業・行政組織の広告コンテンツ制作事業を行ってきた。現在は自社プロダクトであるフリーランスマネジメントシステム「Travel Worker」を成長させることに熱狂している。
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