かつて「働く」というと、企業などに雇われてサラリーマンとして仕事をすることをイメージする方がほとんどでした。日本では長くにわたって終身雇用制度が一般的であったため、サラリーマンとして働くことによってリタイアまで安定した収入を得ることができたのです。しかし、今日では終身雇用制度はほぼ崩壊。一度就職したからといって生涯安泰という時代ではないのです。
結果として働き方は多様化しはじめました。フリーランスもそんな働き方のひとつ。企業などの組織に所属するのではなく、個人として顧客を見つけ、仕事をして報酬を得るという働き方です。
そんなフリーランスとして働く上で大きな悩みの種となるのが断るべき仕事。自分で仕事を自由に選択できるだけに断るべき仕事選びが難しくなるのです。ここではフリーランスが断るべき仕事について考えてみましょう。
フリーランスが即答で断るべき仕事とは?
筆者も実際にフリーランスとして働いており、さまざまな顧客から仕事を受けています。もちろん、すべての依頼を受けるわけではなく、断るケースも少なくありません。ここではまず、フリーランスとして働く上で即答で断るべき仕事をピックアップし、その理由を含めてご紹介します。
報酬が安すぎる
フリーランスの仕事選びをする上で絶対に外せないポイントが報酬です。どんな仕事でも相場が存在しており、それを大きく下回る報酬を提示されるケースも少なくありません。こういった仕事は基本的に断るべきです。
多くの仕事を確保したいがために「自分を安売り」してしまう方も少なくありません。特にフリーランスとして働きはじめたばかりの頃は継続して仕事をくれる顧客はほとんどおらず、また、自分にも自信がないことから相場より安く仕事を受けてしまいがちです。
もちろん、最初は低単価であっても長く継続して取引を続けていくうちに信頼関係が築かれ、より高単価な仕事をもらえるというケースもあります。しかし、相場より極端に低い報酬を提示してくる顧客が求めている人材は、「安く使える人」であるケースがほとんど。結局単価が上がることもなくだらだらと仕事を続けてしまうことになってしまいがちです。
まずは報酬の相場を知ろう
これからフリーランスとして仕事をはじめるのであれば、まずは報酬の相場を知ることが大切です。クラウドワークスなどのフリーランス向けの求人が多く掲載されているサイトをチェックすることで、大まかな相場を知ることができます。
厳しすぎるスケジュール
厳しすぎるスケジュールの仕事も、基本的に断るべきもののひとつです。報酬と同様に仕事の内容・量に応じて、スケジュールにも一般的な相場が存在します。フリーランスの場合は基本的に自分1人で仕事を受け、こなす必要があるため、スケジュール管理は何よりも重要です。そのため「ちょっと無理すればこなせる」と考えて厳しすぎるスケジュールの仕事をいくつも受けてしまうと、トラブルや仕事の遅れで納期に間に合わなくなってしまう可能性が高まるのです。
フリーランスにとって納期遅れは絶対にNG。継続して仕事をくれていた顧客であっても、一度の納期遅れで関係が壊れてしまうケースもあります。特にまだ自分の仕事のキャパシティがはっきりしていないはじめたばかりの方はできるだけ、厳しすぎるスケジュールの仕事は避けるべきです。
緩めのスケジュールの仕事を選んで前倒しでこなす
できるだけ納期に余裕のある仕事を選んで前倒しでこなしていくことによって、納期遅れという最悪の事態を防げるのみでなく、精神的にも安定して働くことができます。どんなに能力のある人であっても、追い詰められた状況では実力を十分に発揮できません。納品物のクオリティが下がれば、納品後にも修正対応などの余計な手間が発生します。逆に余裕があれば十分な時間をかけて仕事ができるため、納品物のクオリティも確保できるでしょう。
トライアルやテストに報酬が出ない
はじめての顧客の仕事を受ける前にトライアルやテストという形で、一度納品を行わなければならないケースもあります。この時点で報酬が出ない仕事も受けるべきではありません。トライアルであったとしても、仕事をして納品している以上は報酬を受け取るべきなのです。極めて悪質なケースではありますが、トライアルと称していろんな人から無料で納品させ続けている可能性もあります。
もちろん、トライアルで納品したものの質が極端に低い、ルールや納期が守られていない場合、支払を拒否されるケースもあります。しかし、最初から「トライアルだから報酬なし」という仕事には注意しましょう。
やりたくない仕事
報酬やスケジュールなどの面には一切の不満がなくても、自分がやりたくない仕事も断るべきもののひとつ。これは考え方にもよりますが、フリーランスの大きなメリットとして、自分で好きな仕事を選べるという点が挙げられます。条件が良くてもやりたくない仕事ばかり受けてしまうと、そのメリットが失われてしまうのです。
ただ、やりたい仕事をするためではなく、より多くの報酬を得たい、自分のペースで仕事したいといった理由でフリーランスという働き方を選んでいる方であればこの限りではありません。内容の好き嫌いよりも条件面を重視し、割り切って仕事をすることも大切です。
自分がフリーランスという働き方にどんなメリットを求めているのかを考えながら、仕事を受けるべきか検討するようにしましょう。
不満があっても受けるべき仕事とは?
基本的には報酬やスケジュールなどに不満のある仕事は極力受けるべきではありません。しかし、条件などに不満があっても受けた方がいい、検討するべき仕事と、その理由について詳しくご紹介します。
継続して仕事が受けられる可能性がある
単価などにやや不満があっても、毎月継続して受けられる可能性がある仕事は前向きに検討すべきです。フリーランスとして働いているとどうしても仕事量にバラつきがあり、収入も不安定になってしまいがちです。そこで、毎月決まった量で受けられる仕事があれば、それだけ収入面でも気持ち的にも安定します。
とはいえ、安定して受けられたとしても単価が極端に低いのであれば、より高単価の仕事があってもスケジュール的に受ける余裕がなくなってしまうといったリスクが生じます。収入と安定のバランスを考えながら検討するようにしましょう。
今後のキャリアに繋がる仕事
条件面で不満があったとしても、今後のキャリアに繋がる仕事であれば受けてみるのも良いでしょう。大きな仕事を請け負った経験があれば、新規顧客にアピールする際の大きな武器になります。その時点ではあまりメリットのない仕事であったとしても、自身のキャリアに積み重ねることができれば、将来的により大きな報酬を得られる可能性に繋がるのです。
仕事によっては、ある程度のキャリアがなければ受けられないというケースもあります。明確な目標があるのであれば、キャリアのためだと割り切って条件面に不満があっても仕事を受けるというのもひとつの考え方です。
改めてフリーランスの「仕事選び」と向き合おう
フリーランスであれば仕事を自分の意思で選ぶことができます。それだけに、断るべき仕事選びに悩んでしまいがちです。ここでは断るべき仕事とその理由について詳しくご紹介しました。これからフリーランスとして働く方は特に、断るべき仕事をしっかりと見極められるようになりましょう。