主に18歳〜30歳の若者を対象に、海外で働きながら自由に生活ができるワーホリ(ワーキングホリデー)制度。今回はそんなワーホリ制度の手続き方法や現地での生活、実際の働き方についてご紹介します。
さらに、コロナ禍での手続きや社会人がワーホリに行く際の注意点やコツなどもご紹介します。人生の限られた時間の中で思いっきり海外で学び、遊び、働けるワーホリ制度をぜひ活用し、有意義に暮らしてみてはいかがでしょうか。
ワーホリ(ワーキングホリデー)とは
ワーキングホリデーとは、もともと日本と協定国の異文化交流や相互理解を促進するために生まれた特別な制度のことです。互いの国の青少年がそれぞれの国で実際に生活・就労することで、異文化交流や2国間の相互理解の促進をすることを目的としています。
日本で初めに制度を開始したのは、昭和55年(1980年)のオーストラリアとの間でのワーホリです。その後、ニュージーランドやカナダ、韓国、イギリス、フランスなどさまざまな国と制度がスタートし、令和2年4月1日時点では26か国・地域との間で同制度が導入されています。
ワーホリに参加できる年齢は主に28〜30歳(カナダは35歳)まで、そのチャンスは各国につき1回のみとなっています。
ワーホリに必要な費用
実際にワーホリを検討されている方にとって、一番気になるのは費用面。現地での滞在費や渡航費などはどのくらいが目安なのでしょうか。
各国の物価や過ごし方(節約生活をするのか、旅行や趣味にお金をかけるのか)等によっても予算は大きく変わってきますが、ひとつの目安として大体150〜200万円を想定しておくと良いかと思います。
この予算の中には航空券代等の渡航費の他に、現地での食費や家賃といった生活費、保険代、ビザ申請代、最初に通う語学学校の学費や入学金が含まれています。そして足りない分や娯楽費はワーホリで得た収入で生活していくという形が一般的です。
現地で語学学校に通う必要がなく、いきなりワーホリで仕事を始めたいという方は少ない金額でも生活することは可能でしょう。
しかし語学に自信がない場合まずは現地の学校で学ぶことで友達の輪も広がり、現地の生活にも馴染みやすくなります。そのため、目安として最初の3〜6ヶ月程度は学校に通うことをおすすめします。
筆者の場合、カナダへのワーホリで当初の予算は100万円程度でした。6ヶ月間語学学校に通ったこともあり少し予算が足りなかったかな、という印象です。現地でのアルバイト代で生活することはできましたが「せっかくなので帰国前に旅行にもたくさん行きたかった」と後悔したことを考えると、あと50万円程度は用意できるともう少し余裕があったかなと思います。
現地での過ごし方や注意点
先ほどもお伝えした通り、基本的にはワーホリに行く人の多くがまずは語学学校に数ヶ月程度通い、慣れてきたら現地でアルバイトやインターンシップを始めます。
渡航後数ヶ月間は現地での生活や食事、地理関係や言葉に慣れるのに必死で、楽しく刺激的な反面少し心細くなってしまったりストレスが溜まったりしてしまうこともあります。
そのため、なるべく学校や職場で友達や知り合いを作ったり、積極的に外に出かけてみたりすることで大切なワーホリ期間を楽しく有意義なものにすることができるでしょう。近隣への旅行や現地でしか出来ない体験にも時間やお金をかけて、貴重な時間を思いっきり謳歌してみましょう。
注意点として、海外では日本よりもスリや泥棒が多く治安が悪い地域もあるため、危険なことに巻き込まれないようあまり羽目を外しすぎず自分の身は自分で守る危機意識も大切にしましょう。
実際の稼ぎ方
現地での稼ぎ方として、日本人ワーホリに人気な職業はカフェや日本食レストラン、果物や野菜のピッキング作業(収穫作業)、ホテルスタッフ、日本語教師、ツアーガイド等があります。他にも前職の経験やスキルを活かし、専門職として働き口を見つける人もいます。
仕事を手に入れるためには、まずは現地のインターネット求人サイトやワーホリ向けの求人サイトを駆使する、もしくは直接求人募集の張り紙を貼っているお店に履歴書を持参していくといった方法があります。他には知人や友人の紹介で仕事を見つける方も多いです。
ワーホリの手続き方法
次に、ワーホリの手続き方法についてご紹介します。
ワーホリの準備に必要な期間は、半年~1年と言われています。主な準備としては、以下の内容があります。
・渡航先の決定
・パスポート申請または期限の確認
・ワーホリビザの申請
・語学学校や現地滞在先の決定
・航空券の手配
・海外保険加入
・資金準備
・荷物準備
・公的手続き
・その他学校や会社への手続き等
何やら準備がたくさんありそうで尻込みしてしまいそうですが、一つひとつはそこまで難しくありません。なるべく時間に余裕を持って進めていきましょう。
渡航先の決定
ワーホリをしよう!と決めた後に、まず考えるのはどこの国に行くかです。自分がいきたい国が決まっている場合は、まずは「国名 ワーホリ」でインターネットで検索して情報を探してみましょう。
まだ行き先が決まっていない場合、日本人がワーホリ提携を結ぶ国の中から行きたい渡航先を探します。人気の高い国はオーストラリアやニュージーランド、カナダです。英語圏であり比較的物価も安く、仕事も見つけやすく暮らしやすいことが特徴です。
パスポート申請または期限の確認
パスポートは時期にもよりますが、発行までに申請後約1週間(土日祝日を除く)時間がかかります。渡航ギリギリになって慌てないよう、こちらはなるべく早めに準備を進めることが大切です。手続きをスムーズにするためにも、ワーホリビザの申請よりも前にパスポート申請を進めるのがおすすめです。
既にパスポートを持っている場合でも、有効期限が6ヶ月を切っていると最悪入国できない可能性もあります。新しいパスポートへの更新手続きを行いましょう。
ワーホリビザの申請
ワーホリビザの申請について、近年ではオンラインからの申請が可能な国も増え手続きは以前よりも簡単になってきています。申請は基本的に各国で異なり、調べながら自分で全て出来る内容ではありますが、不安な方はビザ申請サポートを行うエージェントに頼ることもできます。
ビザの取得までには最長で3ヶ月程度かかることもあるため、こちらも渡航が決まってパスポートを取得したあとすぐに準備することをおすすめします。
語学学校や現地滞在先の決定
現地での語学学校や滞在先については、基本的には日本から前もって手配をして行く人が多いです。海外に慣れていない方や不安な方はこのように前もって手配していく方が安心ですが、筆者は語学学校に関しては現地に着いてから手配しました。実際に自分が通う学校の雰囲気や特徴、生徒や先生の様子を知ってから申し込みをしたかったためです。
語学学校といっても学校の規模や通う生徒数、雰囲気、どのようなカリキュラムがあるのか、生徒の国籍はアジア人が多いのか多国籍なのか…等、その特徴はさまざまです。
筆者の場合は日本での留学エージェント等は特に利用せず、現地の無料エージェント(日本語対応可能で、日本からのワーホリを多く受け入れる国や都市にはこのような無料エージェントが多い)を利用しました。
そして無料エージェントから現地の学校やホームステイ情報などを教えてもらい、実際に体験入学やカウンセリング等に足を運び入学の申し込みをしました。
もし全く英語や語学力に自信がなく、ワーホリや海外生活も不安があるという場合は日本から全て準備していくことをおすすめしますが、自分で考えながらよりお金をかけずにワーホリしたいという方はこのような方法も検討するといいでしょう。
航空券手配・海外保険加入
渡航先やパスポート、ビザの取得が完了したら、航空券の手配も行いましょう。早めに予約することで割引が大きくなることが多いです。年末年始や夏休み、GWを避けたオフシーズンも安く航空券を入手することができるでしょう。
さらに万が一のために海外保険の加入も忘れずに行いましょう(筆者は一度海外で財布を盗まれ、クレジットカード付帯の海外保険で保険代がおりて助けられた経験があります…)。
加えて海外での歯科治療は高額となるケースが多いため、歯の治療が必要な場合はあらかじめ日本で歯医者さんに行き検査や治療を済ませておくと良いでしょう。
公的手続き
ワーホリ前に賃貸等の解約をする場合は、引越し手続きやガス・水道・電気の休止・解約手続きが必要です。 郵便物の郵送先は、一旦実家等に変更手続きをしておきましょう。
さらに1年以上日本を離れる場合には、海外転出届の提出も必要です。提出することにより、国民年金、国民健康保険を払う必要がなくなります。
学校や会社への手続き
在学中の学生の場合、渡航前には休学手続きを行う必要があります。
在職中の方は、企業により手続き方法は異なりますが何らかの申請や上司との面談等が必要な場合が多いです。最近では会社のサバティカル休暇制度や休職制度を活用し、社会人ワーホリや留学をする方も増えてきています。是非ご自身の会社の制度をチェックしてみてください。
会社を辞めてワーホリに行く場合には、仕事を辞めるタイミングで同時に国民健康保険と国民年金への変更手続きが必要になります。いずれにせよ社会人ワーホリの場合には自身の今後のキャリアやタイミングもよく考慮し、時には勇気を出して決断・行動することが大切です。
コロナ禍でのワーホリ
新型コロナウイルスの影響により、現在多くの国がワーホリの一時入国帰省やビザ発給の停止を行っています。
入国を受け入れている一部の国や地域でも、国や州によって必要な提出書類や入国後の隔離・ウイルス検査、ワクチン接種の条件等が異なります。
こちらの情報に関しては日ごとに随時更新されているため、ご自身の行きたい国の最新情報をこまかくアップデートしながら調べていくことが重要です。さらに渡航の際には、外務省からの最新の渡航中止勧告を必ず確認しましょう。