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2022.02.15

コロナ禍で悲鳴!育児世代社員をサポートする社内制度をアップデート

こんにちは。トラベルワーク運営会社、株式会社アステルで社長をしている髙橋です。
オミクロン株の流行にともない、続々と保育園や学校が休園・休校しています。そのため、10日間以上もの間、日中は子どもの面倒を見なくてはいけなくなり、仕事がほぼできる状態ではなくなってしまった社員が多くいます。

弊社を含めママ社員(※男性が育児している家庭も多くあるかと思いますが、今回の記事執筆の便宜上、ママ社員とさせていただきます)が居る会社はバタバタしているのではないでしょうか?
私も最近第二子が誕生したばかりでプライベートは混沌を極めており、子育ての大変さを理解している身であります。
今回はそんな私が、ママ社員の働き方についてではなく、ママ社員を雇用する会社の体制およびマインドについて考える良い機会なので、その点を考察し執筆いたします。

アステルの体制

弊社は広告コンテンツの制作会社であり、クライアントワークが売上のほとんどです。
また正社員は7名、その他バイトが4名、役員3名の小さな会社となっています。このうち男性は5名、女性9名と女性の方が多い職場です。
2022年からは自社メディア事業、SaaS事業に力を入れて受託事業の売上比率を少なくしていこうと奮闘していますが、現在は案件を1人で持ちまわっていることも少なくありません。

そのため「子どもが風邪をひいてしまった」というような場合など、2日程度の調整であれば他の社員からのサポートが可能なのですが、10日間となるとかなり厳しい状態になってしまうのが現状です。
社員数が多く、1案件に3人以上のメンバーが関わっている状況であれば問題なくサポートできるのかもしれませんが、ベンチャー企業ではそれがなかなか難しいです。ましてや受託事業をメインとしていると尚更です。
クライアントに「担当者の子どもが通っている保育園が休園になってしまったので納期を遅らせて欲しい」なんて言えるはずもありません。

他社の「ママ社員をサポートする制度」を考察

そういった状況でも少しでもママ社員をサポートする体制を整えるべく、他社の制度について調べ、考察してみることにします。
ここでは他社はママ社員の雇用を、どのように会社と社員双方にとってメリットあるものにしているのかを調べてみました。
今回は大手企業の事例からベンチャー企業の事例まで様々見渡し、弊社でも導入可能そうな事例をピックアップしてご紹介します。

株式会社ディスコ

まずご紹介したいのが、株式会社ディスコです。人材会社である当社はWillという独自通貨を発行し、社員それぞれに管理会計をしています。

画像引用:株式会社ディスコ

自身の人件費や外注費、あるいは書類提出の遅延を支出として計算し、自分が担当している仕事や同僚からの賞賛、あるいは同僚のサポート業務を収入として計算します。
これにより、急に休まなくてはいけなくなってしまった場合、他の人に仕事を任せやすくなるそうです。その他にも「社内オークション制度」や「Will賞与」など独自の面白い制度があります。

特に「社内クラウドファンディング」制度は興味深く、イベント開催や新規事業をする際に社内から費用を調達することができ、株式のように配当を付与することが可能です。つまり事業がうまく行けば利益を配分することとなり、失敗すれば痛み分けとなるため、資金以外にも、社内からの応援を得たうえで事業を進めることができます。
この制度は、弊社でも是非参考にしたいと思える制度です。

Sansan株式会社

Sansan株式会社の「どにーちょ」という制度もママ社員が活躍するために良い制度だと思います。
これは、休日の静かなオフィスで仕事を行うほうが業務効率がよくなるという場合に、平日と休日の勤務日を入れ替えることができる制度です。

平日は旦那さんが仕事をしているので、保育園の送り迎えはママがしているという家庭が多いのではないでしょうか。そのためママ社員は、子どもが風邪をひいてしまった場合、子どもが昼寝をしている1~2時間に仕事をするのが限界。であれば、「仕事をしなくちゃ」と思いながら子どもの面倒をみるよりも、「今日はしっかり休んで土日に挽回しよう」と割り切った方が、子どもにも自分のメンタルにも良い影響を与えるのではないでしょうか(各家庭で旦那さんと話し合い、理解を得ることが必須ではありますが)。

番外編!株式会社ゆめみ

株式会社ゆめみは真似できなさそうですが、衝撃的な社内制度を数多く導入している企業だったので触れておきます。
この会社には様々な社内制度があるのですが、「有給が取り放題」「給料を自分で決められる」という2つの制度が特に衝撃的でした。例えば誰かが365日有給取得してしまったり、年収1億円に設定してしまったりということはなく、現在はこの制度がうまく機能しているそうです。

受託事業の比率の影響

自社サービス・プラットフォームを提供している会社であれば、社内の調整だけを行えれば良いのでまだ問題は軽くなる気がします。しかし、受託事業をメインにしている弊社のような会社は、クライアントと決めた「納期」があります。子どもが風邪をひいていようが、コロナで保育園が休園になろうが、納期は迫り来る一方です。そのため休みたい場合には社内の誰かに案件を引き継いで代わりに納品してもらうか、最悪、クライアントにお願いして納期を調整してもらう必要があります。平日に稼働できない分を土日稼働でカバーするのは、納期的に不可能な場合もしばしば。

弊社のような会社では、急に休まなくてはならなくなった場合は「仕事を代わって欲しい」とお願いしやすく、さらにお願いされた側も気持ちよくサポートしてあげられるような制度でなければ、サポート体制を上手く構築できているとはいえません。このことからもっとも導入効果が高そうな制度は、株式会社ディスコのものと思いました。

ママ社員をサポートする社内制度は開発の余地あり

様々な企業の社内制度を調べてみてわかったことが、「ママ社員が活躍するため」「ママ社員をサポートするため」の制度には発展の余地があると感じました。
「子どもを連れて出社してよい制度」や「有給以外で休暇取得してよい制度」などは複数の企業で導入されているようでしたが、これらは受託事業をやっている企業にとってはどれも根本の課題解決には至らないなという印象でした。

アステルの現状のママ社員サポート体制

ママ社員が案件を1人で扱ってしまうと、急な休みのときに誰かがサポートをするにも引き継ぎが難しくなってしまいます。
ママ社員に限らずですが、まずは社員1人だけに1つの案件を任せるのは止めるのが大事。
そのために必要なことは下記ですが、ちなみにこれは弊社ですでに実行しているものになります。

ママ社員だけでチームをつくらない

子育てをしている社員だけでチームを構築してしまうと、コロナ禍に起きているような学級閉鎖・保育園休園が同時多発的に起こった場合、結局だれもサポートできなくなってしまいます。そのため、ママ社員とそうでない社員とをバランス良く配置する必要があります。

案件ごとのマニュアル作成

いつか急に休まなくてはいけなくなってしまった時、できるだけ引き継ぎを効率よく行えるように日頃からクライアントからフィードバックのあった内容を案件ごとに蓄積していき、マニュアル化していくことは必須です。

メールCCの活用

CCに入っていても開封するだけになってしまいがちなのは仕方なく、CCで入っている全てのメールにしっかり目を通して現状を把握することは不可能に近いです。
しかし、いざというときにメールを遡れば大凡の状況が理解できるようにする必要があるので、CCに他のメンバーもいれるようにすると良いかと思います。

案件定例会議

現在の状況を他のメンバーにも共有しておくために、1回5分でも良いので自分が担当している案件の報告を行うようにしています。ランチは1人でせず、他の社員を誘っていくようにすることも状況報告をする時間を確保するうえで大切だと感じています。

受注金額のアップ

最も難しいのがこちら。ですが、複数人で担当するのであれば、受注金額をあげないと赤字の案件が増えてしまいます。弊社では案件ごとに管理会計を導入し、クライアントをスコアリングしています。スコアが悪いクライアントに関しては、受注を控えたりアップセルを行ったりなどで対応しています。

サポートしあえる関係を仕組み化するにあたって

次に、新たな仕組みを考えるにあたって、課題や検討事項を羅列していきます。

前提として必要なマインド

Googleで「ママ社員」と検索するとサジェスト表示されるのは「ママ社員 迷惑」「ママ社員 不公平」というかなりネガティブなものでした。

急に休んだり、日中の稼働が制限されたりするママ社員に対して不満を持つ人たちが一定数いるのは理解ができます。しかし「迷惑」「不公平」という感情が社内に蔓延してしまうと、ママ社員にとってもそうでない社員にとっても健全な会社には絶対になりえません。
そこで、まずは会社で働く社員のマインドセットが大事なのかもしれないと考えました。

例えば
「いつか自分も同じ境遇に立たされるかもしれない。仲間が困っているならサポートしよう」
というような助け合いの精神が社内にあるか?
「助けてくれてありがとう。今度ランチご馳走させてください」
というように、ママ側も「ママだから休んでしまうのは仕方ない」とサポートしてもらえることが当たり前と思うのではなく、感謝の気持ちを持っているか?

といったことは非常に大切だと思います。弊社では半期に一度、個人評価・360度評価をしているのですが、評価項目の中に「チームをサポートできたか?」というような項目があります。「全てのワーカーのポテンシャルを最大化」するというミッションを掲げる弊社では、まず社内メンバーのポテンシャルを最大化しよう。私たちの北極星「True North」を目指すには、まずチームサポートをする精神が大切だということを認識してもらっています。

サポートをする社員だけを評価すれば良いのか?

サポートをする人だけを評価すれば、ママ社員も「私の業務をサポートしてくれたら、あの人の評価はあがるから」という気持ちで仕事を依頼しやすくなるでしょうか?
そもそも「サポートしてくれたら、あの人の評価があがるから」というマインドが気に食わない。

サポートしてもらう側にも感謝してくれよ!と言いたくなってしまいます。
サポートする側も「サポートしてくれたことを誰がどう評価してくれるの?」「評価が何になるの?」というモヤモヤを抱えることになる気がします。

サポートしてもらう社員も評価してみるのはどうだろう?

サポートをしてもらえるということは、「日常のコミュニケーションがうまくいっているから」「尊敬できる人だから」というように、そもそも助けたいと思われるような人でなければ、サポートしてくれる同僚も見つかりにくい。ということは、たくさんサポートしてもらえてる社員は良い人材なのでは?じゃあたくさん休めるって素晴らしいことだと評価してあげるのが良いのか?でも、それだと子育てをしていない人にとっては不公平感が生まれてしまう。社内制度はできるだけ公平なものでなければいけません。

ママ社員サポート制度の新しいアイデア

これまでの内容を踏まえて、アステル独自のママ社員サポート制度を考えてみることにします。他の企業から「真似したい」と思われるような制度を作ってやろうじゃないか!という意気込みです。
ママ社員へのサポートに取り組むことで、ママ社員だけでなく会社も助かることになります。

そもそもママ社員だけでなく、会社で雇用をしている限りどの社員にも急な長期休暇リスクはあるわけですから、社員が休むときには堂々と休むことができる環境を整えてあげるのは雇用主の責任でもあります。そのため、サポートしあえるマインド形成をシステム化することにフォーカスして考えてみます。

まず、休みが必要そうな社員を毎年スコアリングします。
1人最大50ポイントまでを上限として、急な休みとなるリスク項目を選択してもらいます。
ここでポイントとなるのは、雇用する社員の全員にスコアを付与することです。そうすることでできるだけ制度に公平性を持たせることができますし、「急に休まなくてはいけないのはママ社員だけではない」という意識がもてるのでは?と期待しています。

(例)
・ママ社員:50 ポイント
・親を介護:40 ポイント
・障害がある:30 ポイント
・持病がある:20 ポイント
・20代でかつ恋人がいる:10 ポイント
・ペットを買っている:10 ポイント
・花粉症がヒドイ:10 ポイント
・低気圧に弱い:10 ポイント

など、さまざまな休み項目を作成し、1ポイントは社内独自通貨の1ASTに交換可能とします。
例えば社員が子育てに関連する理由で休む場合、自分が所持しているポイントとASTを交換し、サポートしてくれた社員に対してサポート内容に応じたASTを支払うことで依頼します。

子育て以外の理由でも同様に「今週、彼氏が誕生日だからお祝いで旅行に行きたくて、この対応、5ASTで代わっていただけませんか?」というようにサポートしてもらいたい業務を値付けして、その値段で受けてくれるメンバーを探します。

ASTが貯まるとバンコクやクアラルンプール、ロサンゼルス、ニューヨークなど、弊社が今後進出していくであろう都市への旅行券と交換することができるようにします。

この制度によって、ママ社員を雇用すると「サポートが大変になる」というマインドから「ASTを獲得できるチャンスが増える」というポジティブな思考に切り替えることができるのではないかと期待します。一方、ママ社員も自分が所持しているASTを消費して誰かにサポートを依頼することができれば、頼みづらさも軽減されるのではないでしょうか?

制度の細部は皆でお酒を飲みながら考えたいと思います。
当制度については続報をお待ちください。