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【バーチャルマーケット6】世界最大のVRイベント徹底レポ!中の人に話を聞いてみた

数年前から賑わいを見せるVR関連ですが、特にコロナ禍以降その進化が加速している印象です。VRChatをはじめとしたコミュニケーションスペースでは多くの人々が思い思いの交流を行い、大小問わずさまざまなイベントも開かれています。

2021年8月には世界最大のVRイベント「バーチャルマーケット6」が無事成功に終わりましたが、主催するのは日本のVR産業の未来を支えるスタートアップ企業でした。今回はイベントの模様とともに、「VR法人」を掲げる株式会社HIKKYさんへVR産業の魅力や今後の展望などを伺った様子をお伝えします。

世界最大のVRイベント!多数の企業が参加する「バーチャルマーケット6」とは?

バーチャルマーケット6は、VRChat内に建造された巨大なワールドを宇宙旅行のように行き来しつつ、3Dアバターや”現実世界”の食品・ファッションアイテムなどを鑑賞・購入することもできる世界最大のVRフェスティバルです。一般サークルだけでなく多数の企業ブース出展も行われており、ここでは書ききれないほどバリエーション豊かなラインナップが仮想空間上に存在しています。

主催のVR法人HIKKYさんは「バーチャル空間を発展させ、豊かにする」ことを目指し、毎回異なるコンセプトでイベントを盛り上げています。6回目となる今回のテーマは「World Festi-VR」。ひと繋がりの地球をコンセプトとした数多くのワールドは、縁日をイメージした和風の空間からヨーロッパの静かな町並みまで多種多様に彩られ、コロナ禍の制限を感じさせない自由気ままな散策を行えるものとなっています。

「バーチャル秋葉原駅」に「バーチャル縁日」まで! 仮想空間ならではの体験に衝撃

VRChatの機能を十二分に活かし、リアリティあふれる造形から現実世界には存在し得ない斬新なディスプレイまで多彩な空間設計が行われているバーチャルマーケット6。ここでは、その見どころをいくつかご紹介します。

まずは今回のエントランスとなる「World Festi-VR “Core”」から。

バーチャルマーケット6の入り口
バーチャルマーケット6の様子

世界のお祭りをコンセプトとし、その中核的存在として一面に無数の浮島が浮かび上がる不思議なステージです。ログイン時には自身のアバターをスターのように出迎えてくれる演出もあり、ユーザーを楽しませてくれること間違いなしでしょう。

バーチャルマーケット6の提供

ここから各ワールドへのアクセスもできるほか、企業出展会場としても賑わいを見せており、LDHのクリエイティブユニット「PKCZ®(ピーケーシーズ)」の特設ブースやヤマハ発動機の「VRバイクシェアライドサービス」、東京藝術大学と三井不動産による「バーチャルギャラリー」など気になるブースが軒を連ねています。

BEAMSの人気イベント「銭湯のススメ。」をバーチャル化したスペースはリアリティ抜群の3Dモデリングが魅力的です。ほかにも、同ブランドが実施中の「PUIPUI モルカー」コラボアイテムの販売なども行われ、製品(の3Dモデル)を試着したり、ECサイト経由で実物をオーダーしたりすることもできます。VR空間にいながら実際の店頭でウィンドウショッピングをする感覚で楽しめるのが新鮮な印象でした。

バーチャルマーケット6でのエヴァンゲリオン

本イベントの目玉ブースのひとつであるJR東日本出展の「バーチャル秋葉原駅」は、秋葉原UDX側の駅周辺をほぼ完全再現したワールドとして設計されています。それでいて「新世紀エヴァンゲリオン」シリーズの各機体が街を行き交うなど、リアリティとバーチャル感が交差した演出が魅力的。

バーチャルマーケット6の電車
バーチャルマーケット6の山手線

改札口で「バーチャルSuica」を購入してホームに入場し、電車に乗って各ワールドの特徴的なビジュアルを車窓から眺めるという体験には衝撃を受けました。

バーチャルマーケット6のお祭り

縁日をイメージしたワールド「Japan Festi-VR “En-Nichi”」ではVR射的やVR金魚すくいといったゲームの体験や、大丸松坂屋百貨店をはじめとする各企業ブースの食品オーダーなどを楽しみながら「日本の夏」を感じることも可能です。

バーチャルマーケット6のアニメキャラ

バーチャル温泉「V呑みの湯」にアバターで浸かりながら、ネット上の知人とのびのび交友する一時を楽しんでいる方も多く、会期中は常時何人もの方々がVRChat上を行き交っていました。

中の人もアバター化!イベント主催の「VR法人HIKKY」さんへインタビュー

オリジナリティと革新性にあふれたバーチャルマーケットを主催するのは、「VR法人」をコンセプトにさまざまな事業を展開する株式会社HIKKYさんです。今回は広報を務める大河原さんにイベントの魅力や開催の経緯、今後の展望などについてミニインタビューを行いました。

こちらが担当の大河原さんです。

VRのアニメキャラ

さすがVR法人を掲げるだけあって、ほぼ全社員が自身のアバターを保持しているのだとか。リアルの事務所で、バーチャルの姿の方にお話を伺うのは筆者も初めての体験です…!

バーチャルマーケット6の開催者
(現実世界の大河原さんは素敵なファッションの大人でした)

――本日はよろしくお願いします!可愛らしいアバターですね。

ありがとうございます。バーチャル空間では自分の好きな姿になれるので、私のようなキャラクターチックなアバターはもちろん、360度自分をスキャンするようなことも可能ですし、ゆるキャラや動物、ロボットや戦車などにもなれるので色々な方が自由に外見をカスタマイズできるのが特徴的です。ある研究結果では、VRChat内に存在する男性の8割~9割が女性の恰好をしているという報告もあるほどで、当社でも社員の8割程が女性のアバターを選択しています。

より好みの自分を追求することを重視しているユーザーはどんどん3Dモデルを購入する傾向にあり、だからこそ世界で一番賑わっているバーチャルマーケットが大きな注目を集めているんです。

――6回目となる今回のバーチャルマーケットは「世界の祭り」がテーマでしたが、そういったコンセプトに至った理由などを聞かせてください。

コロナ禍の今、地球は分断されており、世界中のお祭りごとが軒並み中止となっています。そこで、例えば日本の縁日やニューヨークのタイムズスクエアでのカウントダウンといった世界中のお祭りを、バーチャル空間で実行しよう!というのがコンセプトです。エントランスを宇宙船風にすることで、世界各地のさまざまな場所へワープして、色々なお祭りを体験できるような設計にしました。VRChatはいわゆるSNSに近い性質を持った、コミュニケーションのためのプラットフォームです。バーチャルマーケットは、そこに買い物などのサービスを付加することで、バーチャルとリアルを接続するような体験を創出することを目指しています。

――協賛企業の面々には、いわゆるテック企業やスタートアップ系のサービスだけでなく、大丸松坂屋百貨店などの歴史あるブランドも参加していたのが新鮮でした。ちょっとした贅沢気分を味わえる食品の販売など、百貨店らしさを持ちつつそれをVRアバターで購入できる、という斬新な試みが行われたキッカケや理由はありますか?

そもそも、百貨店のメイン客層は「中高年の女性」とされています。一方で、VRChatでアクティブに活動するユーザーの多くは「20~30代の男性」という真逆の属性です。今回はお中元の延長線上的なイメージで食品などの販売を行っていましたが、そうした「普段百貨店に馴染みが薄い層」へとアプローチできるのもバーチャルマーケットならではの強みかな、と思われます。

ちなみに、バーチャル空間で食品を売っている企業はほとんど前例が無く、大丸さんだけがそういった商品を展開している状況です。リアルの品物だけでなく、それらとセットで3Dモデルの販売・配布を行っているのも先進的な取り組みかな、と思います。

――VR空間だからこそ、実店舗や町中では交差しない客層が交わるのは面白いですね。さいごに、「VR法人」としてのHIKKYさんが考える今後の展望などをお聞かせください。

VR文化が単に「難しい」「まだ早い」と扱われ、物珍しさだけで終わってしまうことを危惧しています。私たちとしては、現実とバーチャルが溶け合うことを大事にしています。そのためにも、PCだけでなくスマホでもWEBブラウザ上からワンタッチでアクセスできる、VR空間の設計などができるVRコンテンツ開発エンジンに力を入れています

※プレスリリース「VR法人HIKKY、スマホやPCのブラウザ上で動くVRコンテンツ開発エンジン「Vket Cloud」を提供開始

私たちはビジネス目線でVRに携わっているわけではなく、とにかく「VRが好き」という想いから設立された組織でもあります。そうしたファン目線での事業展開を何よりも重視しています。

VRへの愛を感じたバーチャルマーケット6

今回は仮想空間上でも最大級のお祭り、バーチャルマーケット6について特集するとともに、運営を手掛ける「中の人」へのインタビューも行いました。終始感じたのは、とにかく「VRへの愛」をしっかりと持って運営に向き合っている、という熱い意志です。

バーチャルマーケットは今後ますます企業・個人それぞれが思い思いに活躍し、自分の「好き」を伝えるための重要なイベントに成長していくでしょう。

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投稿者プロフィール

松島広人(NordOst)
松島広人(NordOst)
フリーライター。実験音楽バンド「AIZ」メンバー。1994年生まれの半デジタルネイティブ。文化芸術とインターネットに人生の大半を費やす。
人材企業・編集プロダクションでのディレクター経験を活かし、業種・業界を問わず多数のジャンルを手がける。仕事は自宅でコツコツより外で息抜きも兼ねて進めたい派。

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