「旅をしながら働く」「場所に縛られず働く」「旅するように働く」などさまざまな形があるトラベルワーク。
当メディアでは、そのようにさまざまな形で仕事に向き合う人の働き方にフィーチャーしていきます。
今回は、株式会社ドリルの大塚匡一(おおつかまさかず)さんにお話をお伺いしました。「働いている拠点は?」という質問に、「特に決められていない」と答えた大塚さん。そのような働き方の裏側を見ていきます!
大塚匡一さんのプロフィール
高校卒業後思いつきで大学受験を志し、22歳で立命館大学に入学。大学では教員資格を目指しながら米文学(特にJ.Dサリンジャー)に思いを馳せる。
教員を目指していたが、社会人経験を経ずに教員になることに疑問を感じ、一般企業の新卒採用を受験し、株式会社アサツーディ・ケイ(現ADKマーケティングソリューションズ)に入社。
デジタルプランナー職の後に営業職を経て、2019年に退社。2020年より株式会社ドリルにてプロデューサー職に従事。
旅先での「仕事を作る」意識
ー現在はほぼ出社していないのでしょうか?
オフィスは渋谷に一応ありますが、ほとんど行ってないですね。笑
ちなみに来週は仕事でカンヌに行きます。
ートラベルワーカーですね!それこそ、カンヌにも行かれると思うのですが、いつもとは違う土地へ行く時に、意識していることはありますか?
旅先だからできる企画とか出会いとか、仕事の広げ方とかは大切にしています。
来週も、サウナが好きなので、旅先のヘルシンキでサウナメーカーと打ち合わせするんです。どこかに行かないとできないことってあると思うので、外に出る時は、そこだからこそできる仕事を作るように意識しています。
ー確かに、その土地にいるからこそ出会える人や、見られる景色もありますよね。
はい。外に出て何かを吸収して、それを仕事に活かすっていうのも意識していますね。いろんなところに行って、いろんなものを知ることが、僕らの仕事としては表現にも跳ね返ると思っています。自分の足で見に行ってみないとわからないことっていっぱいあるじゃないですか。それをなるべく自分の足で行って見るようにしていますね。
ーそう聞くと、外に出て仕事をすることがメリットだらけのような気もするのですが、デメリットは何だと思いますか?
自由に甘えてしまうということですかね。自由だからと言って、映画を観て遊んでいれば良いかというと、そういう訳じゃない。給料をもらっている以上は、外に出て何かする際に、それをちゃんと仕事に戻すことが大切だと思っています。
その意識さえ持っていれば、会社側にも働く側にもメリットがあると思います。
自由に甘えずに利益を出すためには?
ー会社にいるみんなが自由に甘えずに仕事が順調に回る、というのが会社組織の理想ではあると思います。現在、株式会社ドリルがそのように上手く回っている要因は何か考えられますか?
もともと新卒社員を採るような会社ではないので、そもそもの能力密度が高いというのはあると思うのですが、それ以上に自分たちも今の働き方がすごく好きで、それを守るためには会社として利益を上げなくちゃいけないということをみんなが理解していることですかね。自分たちの楽園をみんなで死守しようとしているという感じです。
死守するためには、目先の売上も大事ですが、他にもショーケースに繋がる仕事に全力で挑んで、ホームランを打つ準備をしておくということと、チャンスがきたらきちんとホームランを打つこと。
ただ、あまりこういう話を会社のメンバーとしたことがないので、これは僕の想像が大きいですが。笑
ーなるほど。では、ホームランを打つため、きちんと利益を出すために働く上で大切にしていることはありますか?
クライアントは神様ではなく、パートナーとして接することですかね。
クライアントの要求に対して「間違っていませんか」と言えないがためにたくさん失敗をしてきました。
何に原因があるのかなって考えると、やはりお客様扱いしすぎていることだと思うんです。
「それはやったらだめですよ」とか「それをやるんだったら僕に仕事を振らない方が良いと思います」とかが言えないから失敗をしてしまう。成果が出ないとわかっていながらも、お金がもらえるからと仕事をするのはあまり誠実ではないと思っています。
お互いプロとして、こっちにも断る権利があり、向こうも切る権利がある。そういう中できちんと成果を出すことがすごく大切で、そうすることでクライアントとも良い関係でいられると思っています。
今お付き合いしているクライアントにも「パートナーとしてやらせてください」って先に言いますね。週に1回定例会をして、一緒に考えませんか?というような進め方をすることが多いです。
ーとても勉強になります!プロとしてきちんと成果を出す、ということを最優先事項に考えるんですね。
はい。あとは、信頼されることが大切だと思っています。クライアントたちのやりたいことをまとめて、クリエイターさんたちに仕事を依頼して、その間でお金をもらうという仕事をしているので、いつも、自分の信頼度というものが試されているなと感じています。
働くとは「信頼」をお金に変えていくこと
ー信頼されるために、意識していることはありますか?
3つあります。
1つ目は、ウソをつかないこと。揉める時は自分がウソをついてしまった時だったりもするので、ウソをつかないことと、謝る時はすぐに謝ること。
2つ目は「ここまでやってみたんですけど、ここができないので助けてもらえませんか」とか、詳細を伝えることも大切にしています。「ここがわかりません」と漠然とした質問をする人はたくさんいると思うんですけど、僕はとにかく具体的に伝えるようにしていますね。
最後は、なるべくメールより電話、電話より顔を見て話すことを大切にしています。今はZoomとかもあるので、Zoomで少し話をさせてくださいとお願いすることも多いです。話しにくいこととか、後回しにしたくなることとかもあると思いますが、目の前の問題から逃げずに顔を見ながら伝えることですね。
ーありがとうございます。最後に、将来の夢を教えてください。
片親で育ったということもあり、シングルマザーを支援できるアクションができればいいなと思っています。
それこそ今はトラベルワークというように、場所にとらわれず働ける手段も多いです。なので問題は場所だけに限りませんが、問題点を1個1個クリアしながら、シングルマザーとして頑張っている人にハッピーを届けられる仕事ができれば良いなと思っています。
筆者後記
株式会社アステルも同じような働き方をしているからこそ、参考になる部分がたくさんありました。
自由な働き方がなぜ成立しているかを自分の中で理解して、自分のやるべきことをきちんとやる。筆者も、きちんと胸に刻んでいたいです!